靴とかばんの人生劇場 サヨナラの、その前に。

第1幕 継続して使ってみる。

履き古した相方さん、リペアと出会う

就職して初めてのボーナスで買ったお気に入りの一足。仕事はもちろん、プライベートでもアクティブに動くわたしを支えてくれる。その存在は靴という枠を飛び出し、「相方さん」と呼べるほどわたしに近い。

会社までの道のりを歩く楽しみを教えてくれた。友達と訪れたテーマパークで思い切りはしゃいだ。洋服のセール時に人ごみを掻き分けて動いたこともあった。いろんな経験をさせてくれ、たくさんの時間を共に過ごした相方さんは、思い出と引き換えに傷みが目立つようになっていた。

これ以上履けないかな。残念だけど。

会社帰りにわたしは靴屋さんを覗いていた。なかなかいい靴が見つからないな。日をあらためいくつかのお店に足を運んだ。その間もわたしの足下には相方さんがいた。お店では相方さん以上にかわいい靴とは出会えなかったけど、ひとつだけ共通した答えがあった。相方さんは、お店の靴よりきれいさが見劣りしていた。

買い替えを決めかけていたわたしの目に、緑色の看板が映った。

サヨナラの、その前に。

修理できるかもしれない。わたしは相方さんを緑色の看板──靴専科に持っていった。相方さんの傷みで特に目立つのは、つま先だった。キズがつき色落ちもしていた。店員さんに尋ねると「修理できると思います」と笑顔で返してくれた。後日、相方さんと再会した時、わたしは「あっ」と声をあげていた。出会った頃のような姿になった、相方さんがいた。

今、わたしは相方さんと歩いている。

お気に入りの靴は捨てずに修理する。そうすれば、履き続けられる。

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