就職して初めてのボーナスで買ったお気に入りの一足。仕事はもちろん、プライベートでもアクティブに動くわたしを支えてくれる。その存在は靴という枠を飛び出し、「相方さん」と呼べるほどわたしに近い。
会社までの道のりを歩く楽しみを教えてくれた。友達と訪れたテーマパークで思い切りはしゃいだ。洋服のセール時に人ごみを掻き分けて動いたこともあった。いろんな経験をさせてくれ、たくさんの時間を共に過ごした相方さんは、思い出と引き換えに傷みが目立つようになっていた。
これ以上履けないかな。残念だけど。
会社帰りにわたしは靴屋さんを覗いていた。なかなかいい靴が見つからないな。日をあらためいくつかのお店に足を運んだ。その間もわたしの足下には相方さんがいた。お店では相方さん以上にかわいい靴とは出会えなかったけど、ひとつだけ共通した答えがあった。相方さんは、お店の靴よりきれいさが見劣りしていた。
買い替えを決めかけていたわたしの目に、緑色の看板が映った。