一生履きたい大人の一足

vol.02

お気に入りの靴を長く大切に
履くためのケア用品

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靴
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D氏見てください! ついに新しい革靴を買ったんですよ。

職人おお! かっこいいですねぇ。イメージ通りです!

D氏ほら、この前勧めてくれたサントーニのグッドイヤー製法です。

職人ダブルモンクストラップが、またいいですね。色や光の入り具合も、とてもオシャレです。

D氏ありがとうございます! せっかく買ったこの靴を、長く大切に履いていくにはどうしたらいいでしょうか?

職人そうですね、Dさんが普段使用しているケア用品は何ですか?

D氏100円ショップで買った革靴用クリームがあります! スポンジタイプと、液体タイプですね。

職人うーん、なるほど。それでは、革靴のお手入れをする際の基本的なNGを教えます。実は、今Dさんが使っている油タイプの製品は、革に良くない成分が含まれているんです。革も呼吸をしていると考えてください。通気性を保たなければいけないところに油を塗ってしまうと、息苦しくなりますよね? 長期的に使用し続けると、ひび割れなどが起きる可能性もあります。何も100円ショップだから悪いと言っているわけではありません。油分とロウ分が強いものは、NGなんです。

D氏そんな……。ケアしているつもりが、逆に革をいじめてしまっていたんですね。

靴磨きに必要なケア用品

職人はい。せっかくなので、革靴の基本的なケア用品のお話をさせていただきます。まず、靴磨きに必要な物は、汚れ落としと拭き取り用のウエス(いらなくなったTシャツ等でもOK)。あと、アプライブラシは持っていると便利です。クリームを塗布する小型のブラシで、豚の毛が使われていることが多いですね。様々なメーカーの製品がありますが、手頃に購入できる物で構いません。私は、フランスのサフィールというメーカーのアプライブラシを使って靴にシュークリームを塗っています。

D氏シュークリーム……。なんだか美味しそうですね!

職人ちなみに、お菓子のシュークリームは英語ではcream puff(クリームパフ)です。シュークリームは和製英語なので、お間違えのないように。

D氏それも知りませんでした……。

職人余談はさておき、シュークリームは実に80色以上もあるんですよ。この中から最低限持っておいた方がいいのは、ニュートラルですね。あとは青系(濃紺系)のシュークリームを1つ常備しておくと、間違いないと思います。これを黒と混ぜて使うのもオススメです。

D氏僕の買った靴は黒ですから、黒を塗ればいいんじゃないですか?

靴

職人Dさんの靴の色、単なる黒ではなくて、正確には青みがかった黒なんです。一見ただの黒に見えますが、様々な色が入っています。そこがサントーニ、イタリアメーカーならではのオシャレなところですね。光の当たり方によって、色味が全く変わってきます。黒いクリームで磨いてしまうと、せっかくのサントーニの良さが失われてしまうので、最低でも2色は使って塗った方がいいです。

あと、ダブルモンクストラップはカジュアルにも履けますが、白パンツなどに合わせたとき、裾の部分に色が移ってしまう場合があります。そこで、かかとの周りは色が付かないようニュートラルを塗るのもテクニックの1つです。

D氏なるほど。クリーム1つとっても、ただ塗るだけではないんですね。勉強になります。

職人豚毛ブラシは、塗ったクリームを極限まで薄く均一に伸ばすことができるブラシです。ブラシ類のケア用品は色が移ってしまうので、黒い靴には黒用、青い靴には青用など、靴の色に対してそれぞれ用意した方が良いと思います。ちなみにDさん、クリームを塗る上で一番難しい靴の色って分かりますか?

D氏分かりません……。職人さんでも難しい色なんてあるんですか?

職人はい。それは茶色です。茶色は種類が非常に多く、ブラウン、ダークブラウン、ライトブラウン、コニャックなど、何十という色があります。だから、靴と正確に同じ色のクリームを塗るのはとても難しいんです。ポイントとしては、1トーン明るい茶色のクリームを塗ると、失敗が少ないですよ。

D氏1トーン明るい色ですね。分かりました。

職人ポリッシュコットンは、仕上げに使うことで伸ばしたクリームのツヤをさらに引き出す布です。これは、ストッキングでも代用できますよ。シューツリーもあると便利です。基本的には靴を保管する際に使用する物ですが、靴の形を崩さずにシワの部分を伸ばすことができるので、お手入れを行う際にも便利なアイテムです。これらが、革靴の基本的なケア用品になります。

シューツリー

D氏ありがとうございます。早速買いに行きます!

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