靴底のつま先に取り付ける金属プロテクター・トライアンフが新たに靴専科のメニューに追加されました。そこで、トライアンフの魅力や特徴、靴職人による取り付け方をご紹介いたします。
根強いファンが多い人気のトライアンフ
トライアンフは特徴的な扇型のデザイン、美しいメッキの色合いから根強いファンが多く、ヴィンテージスチール同様、古くから愛され続けている装飾品です。最近再注目されており、その火付け役はオールデンにトライアンフを取り付けた紹介記事とされています。
今回はオールソール交換とトライアンフを同時にご依頼いただいての作業となります。トライアンフは、オールソールを行った後のソールに取り付けました。接地面は塗装せず、土踏まず部分のみを黒く塗る“半カラス仕上げ”との相性も抜群で、クラシックでエレガントな印象のソールに仕上がっています。
職人が手作業で行うトライアンフの取り付け
まず、トライアンフを革底に当て、その形を革底に移します。この線を越えないように彫り込んでいきますが、扇形状のため、機械ではなく全て手作業で行います。
作業には“革包丁”と呼ばれる革の裁断に使用する工具を主に使用します。よく研ぐことで、革底も果物の皮のようにサクサクと剥けます。
トライアンフがすっぽり埋まる深さまで彫り、ヤスリで整えます。はめ込んだらネジで止め、しっかりと固定。最後に余った部分を削り、コバ(側面)を整えて完成です。
擦り減った革底だと、固くて砂や砂利などが埋め込まれ、手作業で彫ることが難しいため、トライアンフは新品またはオールソールを行った革底にのみ取り付けることができます。
高級感とつま先の減り防止効果がアップ
美しい色合いのトライアンフと革底の相性は抜群で、高級感がぐっと増します。アメリカ製の靴に多く見られるポテッとした幅広のソールとは、形状も含めて特にシナジーを感じられます。また、つま先の減り防止の効果も良く、減りやすい革底のつま先を長期間守ってくれます。
ただ、一度取り付けたソールに再びトライアンフを取り付けることはできません。その際は、ハーフソールや他の作業でつま先の保護を行います。
メンテナンスとご依頼の注意点
トライアンフは金属のため、次第に錆びていきます。機能としては問題ありませんが、水分を含んだ状態で靴箱・下駄箱に入れると、カビの発生にも繋がるため、自然乾燥してから保管しましょう。
取り付けのご依頼は、革底の靴を新たに購入、またはオールソールを行う際にオススメです。他の靴修理と異なり、取り付けには様々な条件があるので、引き受けられない場合もあります。お近くの靴専科に靴をお持ち込みいただけますと、正確な判断ができますので、ぜひご相談ください。店舗によっては、LINEでのご相談も可能です。
【靴修理】
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※オールソールは含まれません。
納期目安:中3日~(各店舗にてご相談ください)