ハンドメイドブランドや一部高級ブランドに採用されている真鍮(しんちゅう)の金具。その素材の特性から黒ずむ、光沢が鈍くなる、緑色になってしまったなど、皆さんも一度は経験があるのではないでしょうか? そんな真鍮金具を磨き、購入当初の光沢を蘇らせるのが新メニュー「金属磨き」です。
以前より店舗ごとに対応の可否が分かれていましたが、正式に靴専科全店で導入しましたので、金属磨きの事例をご紹介いたします。
事例紹介~LOUIS VUITTONのバッグ~
大切にしまっていたLOUIS VUITTONのモノグラムのバッグ。使おうと久々に出してみると、カシメの各箇所と美錠(バックル)が暗く変色して緑色になってしまい、キレイにできるかというご相談を受けしました。
カシメは緑青(りょくしょう)という塩分や水分に反応して発生する保護膜が張っている状態です。一方、真鍮の美錠は時間とともに酸化してしまい、黒く変色して光沢が鈍くなっています。今回は、この2つの症状を金属磨きでクリーニングしていきます。
カシメと美錠のクリーニング
まず、カシメは緑青を物理的に取り除いていきます。カシメの構造上、裏側は空洞になっており、その隙間に緑青が付いているので、爪楊枝などで掻き出します。このとき、革に押し付けるとシミになりますので、エアーで吹きながら行います。
緑青を取り除いたらカシメの周囲にマスキングを施し、綿棒に金属用の研磨剤を付着させ、力を入れずにカシメを磨きます。綿棒に黒い汚れが付いていれば、磨けている証拠です。最後に新しい布で汚れ、研磨剤を拭き取って完了です。
美錠はカシメと異なり緑青は発生していませんので、革部分にマスキングを施し、布に研磨剤を付けて直接磨きます。研磨剤も革に付着するとシミになってしまうため、作業範囲より広めにマスキングを貼ります。細く指の入らない部分は、綿棒などで磨いていきます。
金具の酸化・緑青を金属磨きで復元
おうち時間の活用として、押入やクローゼットの整理整頓を行う機会が増えた方も多いのではないでしょうか? その際、眠っていたバッグを見つけて使おうと思ったら、金具の色が変色していたり、緑青が発生していた……。
それらは、金属磨きでクリーニングすることができますが、真鍮は経年とともに再度同じ状況になることがあるので、注意が必要です。酸化(光沢が鈍くなる、黒ずむ)を防ぐことは難しいですが、緑青(水分、塩分により発生)は箱や布袋に入れず、通気性の良い場所で保管すると、発生を防ぐことができます。
今回ご紹介した金属磨きは、真鍮製品のみお受けしています。また、同じ金色でも、メッキ製品は研磨剤で磨くことでメッキを削ってしまい、元の色が出てきてしまう可能性があります。真鍮とメッキの判断は難しいため、ぜひお近くの店舗へご相談ください。金属磨きで、購入当時の輝きを取り戻しましょう!
【バッグクリーニング】
メニュー:金属磨き
納期目安:中3日~(各店舗にてご相談ください)