【ルイ・ヴィトン】バッグの根革修理と持ち手(ハンドル)交換【スピーディ】

ルイ・ヴィトンのバッグ「スピーディ」

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のアイコン的バッグの1つでもある「スピーディ」。ボストンタイプで数種類のサイズ展開があり、ちょっとした旅行や普段使いにも便利な人気のバッグです。ただ、持ち手(ハンドル)などに使われているヌメ革は、皮脂などの影響で次第に黒くなりがちです。他にも持ち手とバッグ本体を繋ぐ「根革」と呼ばれる箇所が、劣化により切れてしまう場合もあります。

ルイ・ヴィトン製だけでなく、バッグの根革は劣化しやすいパーツの1つです。切れてしまった箇所のみの交換だけでは再発してしまう可能性があるので、修理する際にはその他の根革も注意して確認する必要があります。また、バッグの持ち手は、触れる頻度が最も高い部分なので、握り心地も含めた再現力が求められます。

そこで、靴専科の職人によるルイ・ヴィトンのバッグ「スピーディ」の根革修理と持ち手(ハンドル)交換の方法をご紹介いたします。

ルイ・ヴィトンのバッグの根革を修理する方法

① 根革の取り外し

金具を外す
金具を外す

まず初めに、持ち手とバッグ本体を繋いでいる根革の修理から始めます。今回修理するルイ・ヴィトンのバッグ「スピーディ」は、本体と根革を縫い合わせた後にカシメと呼ばれる金具で留められており、先に金具を外した後に縫いを解いていきます。

糸をほどく
糸をほどく

金具と縫いを解くと本体から外れ、持ち手も一緒に取り外すことができます。
※外した金具は流用ができないので、靴専科で取り扱う金具に変更となります。※持ち手と根革を繋ぐカクカン(四角い金具)金具は破損していないので、そのまま使用します。

カクカン(四角い金具)金具

② 根革の型取り

根革の型取り

ルイ・ヴィトンのバッグ「スピーディ」は、販売された年代や作られた国によって金具の取り付け位置が異なります。そこで、既製品を使うのではなく、取り外したパーツを基に根革の型を取って新しく製作します。

根革の型取り

③ 革を漉く(厚みを整える)

革を漉く(厚みを整える)

革は1枚1枚すべて厚みが異なり、そのまま使うとムラのある不恰好な仕上がりになってしまいます。そのため、革包丁などで革全体を丁寧に漉(す)き、元のパーツに合わせて厚みを調整します。根革の美しさに関わる繊細で重要なポイントですので、職人の経験が頼りになります。

革を漉く(厚みを整える)

④ 芯材の貼り合わせ

芯材の貼り合わせ

特に負荷のかかりやすい根革の折り返し部分は、中に芯材を貼ることで強度が増し、再発防止と仕上がりをキレイに見せる効果があります。

芯材の貼り合わせ

⑤ミシン前の下準備

ミシン前の下準備

芯材を貼った後は、ミシンで縫うガイドラインと取り付け位置を合わせるため、目打ちで針穴を開けていきます。また、ルイ・ヴィトンのバッグはこの針穴の数も決まっているので、忠実に再現します。

⑥捻引きとコバ補修

捻引き

モノグラムラインに必ずといってよいほど引かれている捻引き(縁のライン)は、バッグのデザインを引き締めて高級感を与えてくれるので、こちらも忠実に再現します。このとき、角の補強も同時に行います。

コバ補修

革の裁断面(コバ)は、デザインの再現と耐久性を高めるために特殊な加工を施します。処理をしないままだと、目に見えない凹凸による割れ・破れの原因にもなります。見た目を美しくするだけでなく、同時に革の保護も兼ねた大切な作業です。さらに、色味も調整を重ね、丁寧に仕上げていきます。

コバ補修

⑦根革の準備完了

根革の準備

捻引きとコバ処理が終われば、元々のカクカン金具を流用して革を貼り合わせます。

⑧ミシン作業

ミシン作業

製作した根革を針穴に合わせて元の場所に仮貼り付けしたら、1穴ずつ縫っていきます。この際、⑤で開けた新しい穴と本体の針穴がずれないように縫うことが大切です。

⑨根革修理完了

根革修理完了

修理する革は、その他の革部分と統一感を持たせるため、現状に近い革や新品のような革も準備していますので、ご希望に合わせてご提案させていただきます。特に根革は、破損している箇所だけではなく、負荷のかかり方が均等になるように全箇所の交換をオススメします。

根革修理完了

ルイ・ヴィトンのバッグの持ち手(ハンドル)を交換する方法

①型取りと裁断

型取りと裁断

持ち手も根革と同じく縫製されている糸を解き、型取りを行います。革は、伸びやすい方向と伸びにくい方向があるので、靴専科では持ち手の仕様や形状に合わせて最適な箇所を選定して裁断いたします。

型取りと裁断

②芯材で補強

芯材で補強

持ち手の折り返し部分も根革と同様に負荷がかかるので、こちらも芯材を張って補強します。その際、折り返し部分は手縫いできるように針穴を先に開けておきます。

芯材で補強

③持ち手に芯材追加・圧着

持ち手に芯材追加

形をキレイに保ち握りやすくするため、持ち手にも芯材を入れて包んでいきます。このとき、芯材と革が密着するようにモデラ―等を使ってしっかりと圧着します。
※バッグの持ち手が折れてしまった、固くしたい、柔らかくしたい、といったご要望にも最適なご提案をいたします。

芯材圧着

④持ち手の縫製とコバ処理

持ち手の縫製

③で形にした持ち手を縫います。縫う前ではなく縫い終わった後に裁断することで、断面の調整が可能になり、美しく仕上げることができます。裁断面を整えたら、根革同様コバ処理を行います。

持ち手の縫製とコバ処理
持ち手のコバ処理

⑤仕上げの手縫い作業

仕上げの手縫い作業

最後の折り返し部分はミシン作業ではなく手縫いです。糸をしっかりクロスさせて、均一なテンションで縫っていきます。

⑥持ち手(ハンドル)交換完了

持ち手交換完了

根革と持ち手を同時に交換修理することで、バッグ全体にも統一感が生まれ、違和感の無い仕上がりになりました。

ルイ・ヴィトンのバッグ修理・クリーニングは靴専科におまかせ!

バッグを長年使っていると、キズや皮脂汚れによる持ち手の黒ずみが気になったり、経年劣化によって革が切れたりすることがあります。特にルイ・ヴィトンのモノグラムラインで使用されることの多いヌメ革は、エイジングが楽しめる反面、その性質上、水分や油分を吸収してシミになりやすいデメリットもあります。

大きな破損や汚れがなくても、バッグのお悩みやメンテナンスに関するご相談がありましたら、ぜひ最寄りの靴専科にご相談ください。店舗によってはLINEにも対応しています。

メニュー:根革交換(4箇所)、持ち手(ハンドル)交換(丸手、~45cm、2本)
納期目安:1ヶ月前後

バッグ修理・クリーニングは靴専科におまかせ!

バッグの修理やクリーニングは、豊富なサービス実績と高い技術力を持つ靴専科にお任せください。持ち手の交換、根革修理、内袋の交換、パイピングの修理、ファスナー交換、金具交換など、様々な修理を承ります。クリーニングは、特殊洗剤・オゾン水を使用してバッグを丸洗いして、汚れや汗、雑菌などを取り除きます。財布など、小物のクリーニングも対応可能です。

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