スニーカーの靴底が減るのを防ぐシートタイプオールソール

スニーカーの靴底

スニーカーや革靴、パンプスなど、靴を長く履き続けると、どうしても靴底が擦り減ってしまいますよね。靴底全体を交換する方法として「オールソール」という修理がありますが、元の靴底を残したい方もいるのではないでしょうか。そんな方にオススメなのが「シートタイプオールソール」。今回はシートタイプオールソールの特徴を解説し、靴職人がスニーカーに貼り合わせる修理の方法をご紹介いたします。

シートタイプオールソールの特徴

シートタイプオールソールのラバー素材

シートタイプオールソールは通常のオールソールと異なり、シート状のラバー素材を靴底全体に接着する修理です。主にかかとの無い、フラットな靴底への修理に適しており、最近はスニーカーのシートタイプオールソールをご依頼する方が増えています。

オールソールなどでは靴底の修理跡が目立ち、スニーカーのデザイン性が損なわれてしまう場合もあります。しかし、シートタイプオールソールなら最小4mm厚のラバー素材を靴底に貼り合わせて擦り減るのを防いでくれるので、スニーカーの新しい修理方法として注目されています。

だだ、底面のロゴマークやオリジナルのデザインは隠れてしまうので、元の状態をキープしたい方にはオススメできません。

スニーカーのシートタイプオールソールの修理方法

スニーカーの靴底

今回シートタイプオールソールを行うスニーカーは、5年間履き続けたアディダスのスタンスミス。年月とともにかかと、靴底全体の減りが目立ち始めたので、修理することになりました。靴底の厚みを大きく変えたくないご要望があったので、4mm厚のシートを使います。

スニーカーの靴底

まずは、スニーカーの靴底の状態を確認します。擦り減っているだけでなく、ゴムも少し硬化が進んでいる状態です。履き心地も多少硬くなっていますが、修理することで擦り減りを直すだけでなく歩きやすさも同時に改善できます。また、かかと部分が特に減っていますが、横から見たときに修理跡を目立たせたくないので、靴底の高さはそのままにしてラバー素材を貼る修理を行います。

①ラバー素材を切り出す

シートタイプオールソールのラバー素材

使用するラバー素材を用意し、必要な大きさに切り出します。控え目なデザインで柔軟性があり、歩行性の良い“アメ板”と呼ばれる4mm厚のラバー素材を使用します。

シートタイプオールソールのラバー素材

②靴底・ラバー素材の接着面を整える

スニーカーの靴底

靴修理用の機械を使用して靴底、ラバー素材の接着面を整え、荒らします。表面の汚れ、油分を取り除き、ザラつかせることで、接着力が強くなります。

シートタイプオールソールのラバー素材

③下地材・接着剤を塗布・乾燥させる

スニーカーの靴底

靴底側に接着力強化のための下地材を塗り、乾燥させます。乾いたら接着剤を塗り、乾燥したらもう一度塗って再び乾燥させます。乾燥をしっかり行うことで、接着剤同士が強く貼り合わさり、強固な接着となります。

シートタイプオールソールのラバー素材

④ラバー素材を接着・圧着する

スニーカーの靴底

乾燥後に接着を行います。ラバー素材に引いた靴底の輪郭線に合わせてつま先、かかとの順に貼り合わせ、全体をハンマーで叩いて圧着します。

スニーカーの靴底

⑤余分なラバー素材を切り回す

スニーカーの靴底

靴底の輪郭に合わせてカッターナイフで余分なラバー素材を切り回します。このとき、接着に不備が無いか、確認を同時に行います。

⑥ラバー素材を削って整える

スニーカーの靴底

靴修理用の機械を使用して靴底とラバー素材に一体感が出るように削り、整えます。連続した刃の付いたポイント、紙ヤスリのポイントを順に使用して仕上げます。スニーカーの靴底の側面のデザインを消さないよう、細心の注意を払いながら進めます。

⑦シートタイプオールソールの修理完了

スニーカーの靴底

削った際のバリを取り除き、整えて完成となります。ラバー素材は、グリップ性・柔軟性に優れた材質のため、硬化した靴底にも有効な修理です。ただし、経年劣化や硬化が進行しすぎた場合、接着を行えない場合がありますので、ご相談ください。

スニーカーの靴底

メニュー:シートタイプオールソール
納期目安:店舗によって異なりますので、詳しくは店舗にお問い合わせください。

お客様のご要望に応じて柔軟に対応

スニーカーの靴底

今回は、かかとが擦り減った状態でシートタイプオールソールを貼り合わせましたが、「かかとや靴底を元の高さに戻したい」など、ご要望に応じて「高さ戻し」のオプションを追加することが可能です。また、元の靴底を減らさないようにシートタイプオールソールの修理をなるべく早い段階で行い、その後は擦り減った箇所を部分的に修理、メンテナンスすることも可能です。もちろん、新品のスニーカーにも対応しています。

また、今回は4mm厚の素材を使用しましたが、厚みのある6mmや8mm、黒色や茶色など、複数のラバー素材から選べるので、ご希望の仕上がりを実際に確認しながらご相談いただけます。

スニーカーの靴底を経年劣化から守る方法

スニーカーの靴底

スニーカーの靴底は、しっかり保管していても時間とともに経年劣化が起きてしまいます。特に風通しの悪い環境(靴箱、靴棚など)で長く保管しておくと、劣化が早く進みます。年月を経て靴底が限界を迎えてしまうと、全体を交換する必要がありますが、デザインによっては直せない場合もあるので、注意が必要です。

可能であれば風通しの良い環境に保管して、靴箱や靴棚は定期的に開放することで空気の入れ替えをしましょう。ただ、意外かもしれませんが、経年劣化に対するオススメの対策は、保管だけしないで“履く”ことです。

靴専科では、スニーカー・革靴・ブーツ・パンプスなど、様々な靴のトラブルを解決いたします。汚れが落とせない、ニオイが気になる、表面のキズが気になる、カビが生えてしまった、破れたり剝がれてしまった、というお悩みを熟練の職人が修理・クリーニングで対応しますので、お気軽にご相談ください。店舗によっては、LINE見積りにも対応しています。

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